教育論文

square フルカンファレンス      circle 1日券

世界9カ国の教育者によって17件の発表があります。これらの教育論文は、応募総数43件からピアレビューワーと審査委員会によって厳選されました。 5つの英語のセッションと2つの日本語のセッションがあります。

SIGGRAPH Asia 2009 Education Papers:

ゲーム(日本語による発表、英語による同内容の発表有り)

Thursday, 17 December | 5:30 AM - 6:30 AM | Room 416/417

Session Chair

青木美穂
Miho Aoki

産学連携によるゲーム開発の実践的教育カリキュラムの構築

近年ゲーム開発の高度化に伴い、専門的な知識と広い分野への横断的な知識が必要になった。これと併せて欧米ではゲーム教育を実施する大学が増加してきた。また産業界との連携も密であり、IDGAによるゲーム教育カリキュラムフレームワークも構築されている。
ゲームは、漫画やアニメとならび日本を代表する国際的な知的制作物であり、海外からも高く評価されている。これまで高等教育機関においてゲーム制作に関する一貫した教育カリキュラムは無く、その教育手法の開発についてゲーム産業からも強く要望されてきた。しかしながら、本プロジェクトを開始する時点では、日本国内にはゲーム開発を教育する4年間の学部カリキュラムは存在していない。そのため、教育手法や制作手法の体系化が遅れ、企業は各社ごとに独自の制作スタイルをとってきた。このことは制作手法の秘密化を招き、産学連携を困難にしてきた。現状では、企業の開発スタッフの一部が非常勤として専門学校等で教育することにとどまってしまっている。
東京工科大学では、株式会社プレミアムエージェンシーと共同で、開発現場で要求される、実践的な能力の育成を目指すカリキュラムを構築した。講義と演習を組み合わせた、従来の学部のカリキュラムに、1年から4年まで一貫したゲーム関連の授業を実施し、プログラミングやCG、企画など広い分野を経験、理解した学生を育成している。

東京工科大学、株式会社プレミアムエージェンシー
三上浩司、渡辺大地、山路和紀、小澤賢侍、伊藤彰教、川島基展、竹内亮太、近藤邦雄、金子満

An innovative game creator upbringing project in the Asian region

近年、アジア地域でのゲーム開発者育成のニーズが急速に高まっている。中国ゲーム産業においては、2005年に37億元だったオンラインゲーム市場における売上高が、2007年には約79億元、2010年には172億元と右肩上がりの成長が予測されている。日本のキャラクターなどのデザインが受け入れられる嗜好であることからも、日本のゲーム開発企業にとって、中国やアジア諸国は、非常に魅力的な市場である。中国本土をはじめ、香港、台湾や、シンガポールなどにおいては、政府主導でのさまざまなゲーム産業振興および人材育成政策が模索されている。 
しかし、ゲーム開発はヴィジュアルアーティストだけでなく、プログラマーやゲームデザイナー(プランナー)の連携による総合芸術であり、高度なIT技術が不可欠であるため、これらの地域におけるソフトウェア開発人材やクリエイターが未だ不足している。加えて、現状では質の高いコンテンツを生み出す技術力を教育するための人材および教育環境が不足している。 
本取組は、そうした状況を踏まえて、日本においてこれまで培われたコンソールゲームコンテンツの制作技術を、実践的なトレーニングを通じてアジア地域に伝授するものである。本論文では、筆者らが香港にて実施したゲームクリエイター育成プログラムであるDigital Contents Creation Camp (以下 DCCC) の取り組みについて述べる。 

株式会社プレミアムエージェンシー、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント
川島基展、山路和紀、高橋鮎美、カクカンカン、村瀬浩太、金澤克彦