教育論文

square フルカンファレンス      circle 1日券

世界9カ国の教育者によって17件の発表があります。これらの教育論文は、応募総数43件からピアレビューワーと審査委員会によって厳選されました。 5つの英語のセッションと2つの日本語のセッションがあります。

SIGGRAPH Asia 2009 Education Papers:

CGとインタラクティブ技術の教育への応用(日本語による発表、英語による同内容の発表有り)

Friday, 18 December | 5:30 AM - 7:00 AM | Room 416/417

Session Chair

近藤左千子
Sachiko Kondo

グループワークを用いたVRコンテンツ制作の教育法

VRコンテンツの制作は、CGやセンシング技術ばかりでなく、美的感覚やストーリー構築など、多方面に及ぶスキルを必要とする。このような多くのスキルが必要とされるプロジェクトの運営には、各人の持てる力を最大限に生かしながら協働する必要があるため、グループワークの手法が適していると考える。また、学生はグループ討論やフィールドワークなどのグループワークに積極的に参画することで、効果的に学習できるばかりでなく、コラボレーション能力も同時に磨くことができる。本発表では、グループワークを用いたVRコンテンツ制作の教育法を具体例を多数示しながら、その利点を紹介する。

北陸先端科学技術大学院大学 アイデアマラソン研究所
宮田一乘、梅本勝博、樋口健夫



芸術と先端技術によるコンテンツ表現への試み —若冲が描く花と生き物たちの世界—

本研究では、人文系研究者・学生自身による研究教育活動のための高精細デジタル映像システムの可能性を検討する。例として制作したコンテンツは絵画作品の新しい見方を目指し、従来の単純なビジュアライゼーションではなく、絵画の中に入る没入型仮想空間コンテンツ試作を伊藤若冲の絵を用いて行った。文化財や芸術作品の分析・理解に対し、等身大以上のディスプレイの前で議論を可能とするコンテンツを用いることによって、芸術学・心理学・認知科学など様々な分野での共同研究が可能になると考えている。

筑波大学図書館情報メディア研究科
金 尚泰、西岡貞一

筑波大学芸術研究科博士前期過程
若杉さえ子

Sensory Interactionのための教育プログラム

コンピュータや映像・音響装置、センサやI/Oモジュールなどのメディア・テクノロジーを用いた表現が、従来の造形芸術とは異なる新しい美の位相をもたらした。インタラクティヴアートと呼ばれる分野の作品は、鑑賞者の行為に対する映像や音声のフィードバック、つまりフィジカル・インタラクションをもち、感覚的経験を導く。本研究は、そのようなメディア・テクノロジーがもたらした表現の特性に注目し、そこに使われる技術や造形要素、行為と感覚の関係の抽出を通じて、メディア造形教育とでも呼ぶべき基礎的な教育プログラムの構築を試みる。
デジタルコンピューティングにおける入力→プログラムによる処理→出力というデータフローは、鑑賞者と作品とのインタラクティヴな関係性を実現する鍵となる技術である。センサとI/Oモジュールを使えば、たとえば叩く、撫でる、押す、吹く、囁くといった人の行為を入力とし、それにインタラクティヴな関係性をもつ出力を生みだすコンテンツが実現する。本研究では、電子工学等の知識がなくても容易にプロトタイプの制作を可能にするツールキットと、それを使った教育プログラムを開発した。
画家が絵画制作の前段階において行うデッサンや習作を通じて、光や色彩、形態や質感などの感性的次元を獲得するように、メディア・テクノロジーを前提とする感性的次元を探る方法を、初習者向けの基礎的な教育プログラムとして実現することを目指す。

同志社女子大学学芸学部情報メディア学科 
有賀妙子、森 公一